施設長あいさつ

            いきがい村の春に

東北地方では珍しく、雪で数か月視野から消えることもなく、季節ごとの姿に接することで、いわきの自然は一年中楽しめます。しかし、花々が咲き誇り、美しい野山を楽しむことができるのは、なんといっても春です。林のへりに目をやると、咲いてるスミレも色がそれぞれあり、3種類くらいすぐ見つける事ができます。
ヤマザクラもかれこれ1か月くらい、入れ替わって咲いています。そうです、いくつもの種類があって、それらが順番に咲き誇っていくのです。花だけがピンクに咲き出すソメイヨシノが随分特別に扱われますが、あれが1番華やかな弘前城の様子を若い時に15年位楽しみ尽くしたので、正直どこにいってもことさらな感動がありません。年を重ねると、むしろ霞むように新芽と一緒に咲き出すヤマザクラに言い知れぬこの国の優しさを感じます。それを江戸時代の国文学者本居宣長が詠んでいます「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂う山桜花」。しきしまの、は枕ことばなので流して結構、朝日に照り映えるヤマザクラはこの国の心映えそのもの、というような意味でしょう。
雑木というモノも雑草というモノもない、みんな意義があって現れて精一杯生きているのです。
人間の一生でいえば晩秋の時期をお預かりするいきがい村では、通所や付き添っていらっしゃる様々な方々との多彩な接触があります。それに加えて、医療介護の地域連携や包括ケアという概念を進める実践者として、医療連携推進法人「医療戦略研究所」の認可を受けたこの4月は、様々な施設を持つ法人だけでなく、もっと広く地域連携のネットワークをつくるスタートの時節でもあります。様々な出会いを大切にして地域の方々の希望により沿って、それぞれの施設での専門職のスキルを大切にしながら、医療から介護までの広い領域で活躍する場が待っているのです。
今年は、北国のように、いっぺんに多くの花々と新緑が目を楽しませてくれます。目移りしやすくなりますが、焦らずに、みんなでもっと充実した役割を果たす事ができるように、楽しみながら研鑽していく機会としましょう。

 施設長 石井正三